やるせなく果てしなく

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竹内アンナ『MATOUSIC』にヤラれる

これまでEPを3枚リリースしてきた竹内アンナが今年3月、ついにファーストフルアルバムをリリースしていた。

作詞作曲を自ら行うシンガーソングライターでありながらモデル顔負けのビジュアル、そしてまだ大学生という若齢。話題になるには十分すぎる才媛であるが、ブレイク前夜といったタイミングなのだろう。まだメディア露出はそれほど多くはないと思う。

 

結論から言うと今作は傑作である。マジで尊い。最近はRIRIとかiriとかブラックミュージックをJポップに自然に融和させたような感性を持つ女性アーティストたちが台頭してきているけど、この竹内アンナもブラックミュージックからの影響は感じさせつつもアウトプットはよりシティポップよりだ。

 

軽妙でファンキーなアレンジと、キラキラとしたポップなメロディ。土岐麻子を思い起こすようなややハスキーで柔らかいボーカル。どこを切り取っても可憐でタフなポップミュージック。

MATOUSIC

MATOUSIC

  • アーティスト:竹内アンナ
  • 発売日: 2020/03/18
  • メディア: CD
 

 

 

MATOUSIC = 身にまといたくなる音楽

タイトルは竹内による造語という。

香水やお気に入りの洋服を着るのと同じように生活の中で自然に見つけたくなるような音楽を目指したというコンセプト通り、シチュエーションやタイミングに縛られずに聴きたくなるような作品になっている。

でもただのエレベーターBGMに成り下がることは全くなく、フラッと流し聞きしているとふとした時にグッとくる瞬間がどの曲にもある。

 

これを聞きながら街を歩いていると、つい自慢したくなってしまいたくなるような主張がある。

お気に入りの香水や洋服を身に着けている自分を見てもらいたくなるのと同じように。

 

まずは一曲目の"RIDE ON WEEKEND"だけでも聞いてもらえれば分かると思う。

このタイトルセンスもグッとくるよね。


【MV】竹内アンナ / RIDE ON WEEKEND

 

 

アルバムのトータルアレンジャーは名村武。重鎮でありながらもUNCHAINなどの若手ソウルバンドのアレンジも手掛けるなど、

日本のポップスの貢献をしてきた彼のアレンジによるところは大きいと思う。

(恥ずかしながら彼の名前はカーネーションの直枝氏のTwitterで知った。愛聴していた本作を直枝が絶賛しているのを見てこうして書きたくなった次第である)

 

っていうかこれも勉強不足だったけど、UNCHAINの谷川が彼女のバンドメンバーやっているのね。

ずっとアルバムばっかり聞いてきて何も調べていなかったから今回は自分にとっても発見がたくさんある。

UNCHAINずっと好きだったな。「Orange」以降聴いていなかったけど聴いてみるか。

 

 

話がそれたが、80'sシティポップ、アーバンポップ、ディスコ、ファンク、ヒップホップを昇華した素晴らしいポップスである。

彼女のアコースティックギターも清涼感があるのでこれからの季節は特にいいだろう。

 

 

これからの大ブレイクに期待

すでにブレイクしているとも思うけど、ここからさらに飛躍するのは間違いない。

『MATOUSIC』は過去のEPの代表曲たちもしっかりと収録しているので、今作をこれまでの集大成的な位置づけに置いているのは確かだろうし、まずは今作を聞くことから始めてもらうのがベストだ。

 

Jポップもこの数年でずいぶんと裾野が広がり面白い雰囲気になってきたと思うけど、

彼女はその時代にあらわれた真打ちとったところだ。竹内アンナでJポップはまた変わる。

 

壮大な話にも思えるが大げさに聞こえないのは、彼女の音楽を聴いてもらえれば分かると思う。
【MV】竹内アンナ / B.M.B