日本語ラップという特異なジャンルについて
ぼくは基本的には何でも聴く。もちろん好みはある。
何度挑戦してもダメな音楽はあるし、昔は苦手だったものが何年か経ってあれこんな良かったっけって思って好きになることも往々にしてある。食べ物の好みとおんなじようなものだ。ちなみに嫌いな食べ物はない。
その中でも日本におけるヒップホップひいては日本語ラップはこの10年以上ずっと注目している。最近じゃ(最近でもねーか)フリースタイルダンジョンに端を発してフリースタイルを起点に何度目かの日本語ラップブームが訪れていたが、2020年になってようやく一つの音楽ジャンルとして市民権を獲得したように思う。
ぼくの思春期のヒーローはELLEGARDENやアジカンといったロックバンドが爆発的な人気を誇っていて、中高生はいっせーので爆音が鳴らされるカタルシスやバンド然としたたたずまいに酔いしれていたものだけど、今ではその役割を若きラッパーたちが担っているようだ。代表的なところではBAD HOP。彼らのサグな雰囲気とロックを感じさせる重厚なサウンド(音楽的にはめちゃくちゃヒップホップだよ)、そして集合体としてカリスマ性、たしかにずいぶんとくたびれた大人になった自分にもぐっとくるものがあるし、若い子たちが熱狂するのは全くもって理解できる。カッケーもんな。
BAD HOP / Kawasaki Drift (Official Video)
年末にYZERRがスペシャルゲストで出るライブイベントがあったので行ったのだけど、とにかくBAD HOPの人気がすごかった。チッタのヒップホップイベントなのに未成年の子たちがとにかく多かったし、DJが幕間でBAD HOPとかMall Boyzとかかけると大合唱だったもんな。おれはKEIJU見たかったから行ったんだけど、マジクールだった。
日本語ラップは村社会のジャンルと昔から言われていて、その中での密な交流が面白いわけだけど、その村っていうのはリスナーのほうも同様で、これまでは一部のブーム期以外は一部の熱狂的な愛好家だけが盛り上がっているようなものだったと思う。でもここ数年は若い子たちの流れがしっかり作られて村から町くらいにはなったんじゃないかなと感じている。PUNPEEやCreepy Nutsといった素地がしっかりした人たちがジャンルやメディアを超えて活躍しているのも非常に象徴的だし。
お嫁においで 2015 / 加山雄三 feat. PUNPEE
個人的にいま一番アツいのはMoment Joonだな。
アティチュード含めて一番熱量のあるラッパーだと思う。
みんなもちろん聞いていると思うけど。泣ける。