やるせなく果てしなく

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好きなことも嫌いなことも好きなように書きなぐる

さようならRケリー

まず自分は「Surviving R.Kelly」を見ていないという前提で話を進める(まだ日本では公開予定はないようです)。

 

別に検証ブログでも何でもないので細かい事実関係などについては触れず、複数のネットニュースと「INSIDE OUT」の渡辺志保さんの放送を聞いて思ったことをただ書くだけですので、その点留意してください。

 

Rケリーについてはずいぶん前から未成年淫行の疑惑が上がっていたのは、自分のような海外ゴシップに詳しくない人間でも知っていることだと思う。アリーヤの件もあったし。それでもなんとなく見過ごされてきたというか、それはそれ、みたいな空気でバリバリ活動し続けるRケリーを見ていると、もうすでに疑惑は解決され、現在はクリーンな状態なのかしら、なんて思っていたものである。

 

Rケリーという人については、僕は初期の作品群はそれほど思い入れがなく、「チョコレート・ファクトリー」なんかはよくできたスイートなR&Bだなっていう感じでよく聴いていたものの、心を射抜かれてファンになったのは「ラブレター」だった。コテコテの70年代ソウルバラッドを現代版にアップデートし、抜群のグッドメロディに乗せて堂々と歌いきるという、ソウルとしての貫禄を十二分にたたえたこのアルバムは本当に何度も繰り返し聞いたし、今でもアルバムとしては10年代以降最高のソウルアルバムの1つだと思っている。

あと今、学生の頃の居酒屋のバイト先のマネージャーから「Trapped in the Closet」っていうDVD借りて観たの思い出した。あれ面白かったな。

 

だから今回の件はあまりにも落胆というか、これまで彼の曲を聴いてうっとりしていたのは何だったのかという自己嫌悪にも近いような心持ちを隠し切れない。

宇多丸も言っていたけれど、もう彼の歌詞を聞いて眺めて爆笑することなんてできないし、あんなに聞いていた「ラブレター」だってもう聴くことがないかもしれない。(少なくとも今はまったく聞きたいと思わない)

 

チャンス・ザ・ラッパーやジョン・レジェンド、レディーガガ、ポスト・マローンなんかも彼に対してNOを示しているし、これまでの飄々とやりすごしてきたRケリーもいよいよ終わりかもしれない。

今Rケリーは自身のクラウドサービスで楽曲リリースを行うことで、流れにあらがっているけど、もうそんな個人の動きだけでどうこうできるレベルじゃないのは明白だ。

 

ミュージシャン自身の問題によって、生み出されてきた楽曲たちまで消えてしまうのはどうかとも思う。サブスク各社でもRケリーの関係する楽曲が規制され始めているようだが(#MuteRKelly)、彼ほどR&B~ソウル界で功績を挙げた人はそういないし、マイケルへ送った「ユー・アー・ノット・アローン」とか、教会でも歌われるという「アイ・ビリーブ・アイ・キャン・フライ」とか、Rケリーという一個人を超えて愛されてきた楽曲まで淘汰されてしまうというのはとっても切ない。

 

でも、それはきれいごとだとも思う。実際におれもさっきもうRケリーの曲を聴けないかもしれないって言ったし、あの美しいメロディの数々が、こうした事件を背景にして(実際は分からないけど、ゼロではないだろう)生まれていたというのであれば、Rケリーの関連作それ自体を聞きたくなくなる、流すべきではない、といった声が生まれるのは当然のことだと思う。

 

今後、どういった形でこの問題が収束するのかは分からないけれど、被害に合われた方々にとって少しでもよい形に落ち着くのを願う。

 

さようならRケリー。

 

 

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